レポート

令和5年度の工藝の森の活動報告を公開いたしました!

2024-08-18

工藝の森はの森の活動は、ご寄付いただく団体さま、クラウドファンディングにご支援いただいた個人のみなさま、そして日々の森の活動にご一緒いただくコミュニティの皆様の温かいおご支援によって成り立っています。

工藝の森に心を寄せるこのような方々に、感謝を込めて、昨年度の『工藝の森活動報告書』を制作しております。

今年度は、京都市内にも森の活動が広まり、仲間が増えました!

ぜひご覧ください。

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報告書よりの引用:『結びの言葉』

京北を基盤に活動を始めて、5年近くとなりました。そのたった5年の間にも、コロナがあり、また毎年起こる自然災害や、上昇し続ける気温に、私たち人間のこれまでの行いを顧みることを余儀なくされています。

自ら耕したり、下草を刈ったりして森に長く関わるようになると、植え育てようとしている植物以外にも、森には無数の生き物がいて、季節によって現れたり姿を消したりします。それらの生命は互い関係ないように見えていても、何かが何かに捕食されたり、朽ちた死骸が他の何かを養ったりしている、生命の連関にも気づくことができるようになってきました。

森に溝や穴を掘ると、地下のあらゆるところに水が流れていることに気が付きます。地上を流れる川や池以外にも、大地は地下の見えないところに水をたくさん蓄えていて、そうした地下水は大雨や急な雪解けによって急に地上に現れたりします。

京都と京北は、桂川という川で繋がっています。かつて平安京が造営された際、筏師と呼ばれる男たちはこの地域から伐り出された木を筏(いかだ)に組んでこの川を流し、その木材が都のかたちを造っていきました。

京都の地下には、琵琶湖の水量に相当するほどの量の地下水がタンク状の地形に隠れていることが、近年の研究でわかってきています。その水は、京の都で茶の道が発展するのになくてはならないインフラでしたし、神道では清浄の概念と密接な関係にありました。雨が多く湿度が高いこの国の文化において、水は私たちの精神性を形づくった要素の一つといっても過言ではありません。そしてこの豊かな水が、染織、酒造り、紙漉きなど、私たちが守りたいと思って活動を始めるに至った、モノづくりの産業を育んできました。

森にいる様々な生命は、水を介して、私たちの街と暮らし、そして産業と繋がっていることを実感を持って気付いたこの5年を経て、工藝の森の活動は、より一層広く多面的な視座のもとに展開しています。都市や産業、人の暮らしを森に繋いでいくことによってそのような多面的な視野を共有していくこと自体が、私たちの使命であると認識しています。

工藝の森の活動に期待する皆さまに恵まれ、私たちの森が育まれていることに、何より希望をいただき、感謝の念を感じずにはいられません。この森が多くの人々の学びを促すフィールドとなるよう、そしてそのような森が少しでもひろがっていくよう、今後も引き続き努力してまいります。これからも、お力添えをどうぞよろしくお願いいたします。

2024.03.31

『工藝の森』主宰

一般社団法人パースペクティブ

代表理事 堤卓也・高室幸子

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